1997年の開園から今年で20年となる倉敷チボリ公園(2008年末で閉園)の建設に向け、本家・デンマークのチボリ公園側と岡山側のチボリ・ジャパン(TJ)社が合意文書にサインした際に使われた万年筆が今も残されている。元TJ社員で閉園時に営業担当のゼネラルマネジャーだった森川政典さん(56)が大切に保管していた。開園20年を機に今夏、倉敷市内で開かれる回顧イベントで紹介される予定だ。【小林一彦】

     チボリ公園は元々、岡山市内で計画されていたが、誘致を進めていた第三セクターの不明朗会計などが問題となり、1991年に頓挫。その後、倉敷市のJR倉敷駅北側にあったクラボウ工場跡地への建設が決まり、97年7月に開園した。当初は多くの客を集めたが、やがて経営難から閉園に追い込まれた。

     しかし、「公園でデートした」などと今も思い出を持つ人が少なくなく、館内に市中心部の鳥瞰(ちょうかん)図を展示する美観地区の倉敷物語館でも、図を見ながら公園があった頃を懐かしむ人の姿が絶えないという。そこで、同館は開園20年の節目に回顧イベントの開催を計画。現在、同じ美観地区の大原美術館に勤める森川さんら、元TJ社員有志が協力することになった。

     森川さんが保管していた万年筆は94年、コペンハーゲンのチボリ公園を運営するチボリ・インターナショナル(TI)社とTJ社がコペンハーゲンで、公園のマスタープランに最終合意した文書の調印時に使用された。高品質で知られる「モンブラン」ブランドで、インクを入れれば今でも書けるという。

     倉敷物語館で今年7月に開催を予定するイベントでは、公園の出発点となった、この万年筆のほか、閉園日のチケットや園内で販売されたグッズ類などを展示する。また、公園の映像記録を交え、園内で結婚式を挙げたカップルに思い出を語ってもらう催しなども計画し、参加可能なカップルを募る。

     倉敷物語館は「公園の記憶は重要な倉敷の物語の一部。公園を知らない子どもたちにも伝えたい」としている。カップル募集などに関する問い合わせは同館の森脇寛子さん(086・435・1277)まで。



    ニュースサイトで読む: http://mainichi.jp/articles/20170113/ddl/k33/040/572000c#csidx43ca813e9d9d2d6a891858606b277a0 
    Copyright 毎日新聞